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鳥文斎栄之展「ジワる魅力」

2024-04-02

丁字屋 いそ山

千葉市美術館で3/3まで展示されていた、鳥文斎栄之(ちょうぶんさい えいし)展。
Instagramに写真アップしています。)

現在ではあまり有名ではありませんが、活躍した時代では、喜多川歌麿と並ぶ人気を誇る絵師だったようです。

影響を受けたという鳥居清長に似た、スラリとした八頭身美人を描きますが、栄之の特徴は、

品の良さ

旗本という出自から来ると思われる、上品さがあります。
吉原の花魁(おいらん)を描いていても、武家の姫君が花魁の衣装を着ているような、どこか浮世離れした清楚さを漂わせています。

女らしい艶かしさや色気は弱く、初期の頃の女性の顔は、男性のように見えました。(むしろ若い男性のほうが、中性的で美しいと思えたくらい)

しかし、だんだんと描く女性の顔立ちも柔らかく繊細になっていき、後年の肉筆画の頃は、聖女のような品格と美しさを備えた、うっとりするような美人画を生み出しています。

旗本の中でも上流の出身である事が彼の強みとして作品に生かされていて、庶民の浮世絵師が知らない武家の生活や、古典に題材を取った教養ある絵を描く事で、

  • 武士階級以外の者にとっては、上流階級の生活を窺い知る好奇心と憧れを呼び、
  • 武家にとっては、自らの階級の人々が描かれている親近感や、描かれている古典的テーマを理解できる教養をもった階級としての誇り、優越感を持つ事ができ、(社会的身分の低い)遊女であっても「品格を備えた美女」として描かれる雰囲気が、彼らの好みに合っていたのではないか、

と推測します。

絵に高価な絵の具や豪華な刷りなどを使っていたため、主な顧客も裕福な武士や豪商などセレブ

歌麿と栄之は、それぞれ版元(出版店)が違い、絵のタイプが重ならないよう、版元の戦略もあったようで、

  • 歌麿は「大首絵」(顔のアップの絵)、
  • 栄之は「全身の姿絵」と、分かれていたようです。

栄之は歌麿側の版元が亡くなった後に、大首絵を描いていますが、確かに顔のアップの絵を比べると、

栄之はおっとりした平安貴族のような顔、
歌麿の方が表情が生き生きとして、魅力的に感じます(個人的に)

栄之の良さは、やはり、、

全身のバランスの美しさ

版元はよく見抜いていたと思います。

また、紅(べに)嫌いと称される、目を引く赤色を避けたシックな色合いで描き、それが更に上品さを醸し出しています。

洗練されていて穏やか表情は淡白で柔和。

彼の描く女性は、感情をむき出しにしない、おっとりしたお姫様のようで(それが上流階級の慎み)、
よく見ると、おっとりした表情の中に垣間見える、はにかみや可愛らしさがあって、じわじわと魅了されてしまう力があるんです。

 

 

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